雑記

「御前岳(湧水ルート)」を登る

2016/06/13

日田キャンプの中日に急遽ですが登山してきましたよ。

 

当初、釈迦岳を登ってみようかと軽い気持ちでスノーピークスタッフにどんなもんか聞いてみたところ、それより御前岳湧水(豊の国名水)が気持ち良くてオススメとのこと。そこの湧水で点てるコーヒーは格別ですよと言われたら行くしかありませんよね。

軽登山はできる装備はあったので、それにコーヒーのドリップバッグとストーブ、コッヘルを詰め込んでいざ出発。

 

 

シオジ原生林 御前岳登山口

キャンプ場から登山口までは車で移動です。15~20分ほどくねくねと両脇から草が道路に向かって生い茂っている道を走ると、登山口と書かれた看板の近くに小屋が現れますので、そこに車を停めておきます。※震災の影響か、それより先には進めないようバリケードが設置してありました。

看板の前には湧水が溢れており、登山前に喉を潤し、ペットボトルにも補給しておきます。

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登山口から山に入るとしばらくは舗装路ですが、なかなかの急こう配なのでスタートから体力を奪われます。これまた震災の影響と思われる落石がいたるところにあります。何かのきっかけで別の落石が発生する可能性も考えられるので十分に注意を払いながら歩きます。

舗装路が終わるといよいよシオジ原生林の中に突入です。

シオジという木は、御前岳のようなゴツゴツとした岩肌の斜面の谷部を流れる水辺に生息する、日本特産の水辺落葉広葉樹です。真っ直ぐにその背筋を伸ばして、枝葉を屋根のように大きく広げて群生しているため、年間降水量3000mmの多雨地帯という条件とも重なって、温帯雨林のような大変湿潤な環境をその足下で展開しています。又、落葉は堆積となってより多くの水分や養分を蓄えながら、次の若芽や澄んだ天然水へと還元しています。

引用:前津江村 御前岳登山口 案内板

 

シオジの葉が空を覆うため原生林の中は暗く涼しく、今までの暑さが一変します。水のせせらぎと様々な鳥の声を聴きながら360°緑に囲まれた世界をただただ進んでいきます。周囲に全く人気はなく、この世界に自分しかいないのではという変な不安にかられることも。

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御前岳

シオジ原生林を抜けると、水のせせらぎがぱったりと聞こえなくなります。

照りつける太陽の光が戻り、勾配も一気に急になります。一段一段が足に堪える階段を登っていき、もう引き返そうかと思ったころにようやく御前岳と釈迦岳の分岐に辿り着きました。分岐から山頂までは本当に目の前で、分岐の手前から山頂で休憩している人たちの話し声が聞こえてくるほどです。人の存在に少し安堵しながら山頂を目指します。

無事山頂に到着し、一息つきたいところでしたが先客が多くあまりゆっくりはできませんでした。さて帰るかとザックを背負ったところで、途中で出会った一人の中年女性の言葉を思い出しました。

「釈迦岳までの縦走も気持ち良いですよ!」

もう足もパンパンだし帰りたいのに・・・好奇心の方が勝ってしまいました。

 

 

釈迦岳

縦走は人生初。一歩(本当は三歩くらい)踏み外せば数百メートルは滑落してしまうような場所を恐る恐る、でも最高の眺めも楽しみながら釈迦岳を目指します。御前岳山頂で休んだことで体力が少し回復したこともあり、足取りは軽やか。途中、御前岳山頂で出会った2グループをパスさせてもらい、サクサクと進みました。
※途中で何枚か写真を撮ったんですが、どれもピントが甘々で使い物になりません。今のカメラはどうも景色が苦手のようです。(自分の腕については無視・・・笑)

このまま余裕の釈迦岳登頂!といきたいところでしたが、山頂手前には急な鎖場が待ち構えていました。

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18年前に登った石鎚山以来の鎖場ですが、あの時の若さはもうありません。
昔であればひょいひょいと登っていったんでしょうが、今では山頂に立ち入るのを拒んでいるようにしか見えません。とは言え、これで引き返すわけにもいかないので気力を振り絞ってなんとかクリア。(問題は登りじゃなくて降りなんですけどね)

 

激狭山頂なので身も心もゆったりとはいかなかったんですが、背に腹は変えられないのでここで昼食。カップラーメンをササッと流し込んで下山です。

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それにしても虫の多いこと。歩いていても顔の周りを纏わりついてきますし、止まろうものならすぐ攻撃してきます。こんなやつが必要ですね。

 

 

帰路。そしてコーヒー

ピストンなので下山はただ黙々と降るのみです。
釈迦岳を勧めてくれた中年女性は、釈迦岳から御前岳の稜線の途中から違うルートで下山するとのことでしたが、イマイチ場所もわかりませんし、何より初めての山で無駄な冒険心は禁物だろうと思い、そのまま引き返すことにしました。

トレッキングポールも無いので全ての負荷が膝に集中します。分岐からしばらくは急勾配の階段が続くので右膝が早々に悲鳴をあげてしまいました。
カニ歩きで降りたりたまに後ろ向きになったりで、ようやくシオジ原生林まで辿り着くことができました。

 

数時間前と何も変わっていないシオジ原生林ですが、登りの時には見えていなかった幻想的な景色が登山道を少し逸れたところにたくさんありました。

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これが彼の伝えたかったことかと実感。

この澄んだ湧水で点てたコーヒーを飲めるなんて贅沢極まりないでしょう。周りは水の流れる音と、野鳥の声のみ。あの瞬間、私は世界一幸せな時間を過ごしたはずです。

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下山直後は膝の痛みもピークで「もう登山はいいや」と思っていたのに、しばらくするとまた登りたいと思ってしまいました。あ〜気持ち良かった!

でも、その前に装備をもう少し充実させて、カメラを替えないと。

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