DIY

趣味と実用を兼ねた「第2種電気工事士」の資格に挑戦する

2017/09/02

家を購入してからというものDIYが好きになり、少しずつ自分好みに変えていってます。

購入時に築10年なのでそれほど古いものではなく、建具や設備もそれなりに良いグレードのものが使用されているようです。それでも細かい部分であれ??と思う部分もあるのは事実です。

 

「シーリングライトを交換した際のお話」

転居してからすぐのこと、既設の蛍光灯シーリングライトを旧宅で使用していたLEDシーリングライトに交換しようと考えました。
既設ライトを外すと、ライトは取付金具に固定されていましたが、天井にはケーブルが通るだけの穴があいており、そこから角形引掛シーリングがぶらりと垂れ下がっていました。
10年前には引掛ローゼットなる商品はあったはずなんですが。100歩譲って角形引掛シーリングを使うとしても、天井に固定しておいて欲しかった・・・

とまぁ、さほど大した問題では無かったんですが、取り付けたかったライトはそのままでは取り付けられず・・・結局、電気工事業者さんに来てもらって1Fの全てのシーリングを交換してもらうことになりました。
※なぜか2Fの寝室だけは角形引掛シーリングが天井に固定されていました。それに安心していたら、寝室以外の部屋は1F同様に宙ぶらりん状態。さすがに2回目の工事をお願いする気にはならず放置です(笑

 

それからしばらくして、ガレージ用ライトの交換を思い立ちました。

既設のガレージ用ライトは、ソーラー式LEDセンサーライトです。省エネにも貢献してくれるし、何より取り付けが楽だったんでしょう。その代償?にあまりにも暗かったのです・・・
専門業者にお願いしたかったんですが、少しでも費用を抑えたいのと自分でやってみたいというDIY熱が勝り、ネットを徘徊して機器を揃えることにしました。

しかし、こういったDIYでも電気工事士の資格が必要であることが発覚!シーリング交換は電気工事士でなければできないというのはなんとなく知っていたんですが、思った以上に素人が手を出せる範囲が限定的だということがわかりました。

とは言え業者に依頼するのもな・・・と考えているうちに、今後もDIYを続けるなら電気工事は避けては通れない道!という意識が芽生え、電気工事士の資格を取ることにしました。

 

 

電気工事士になるには

長い前置きでしたが、こんな経緯で第2種電気工事士を目指すことに。

そこで、第2種電気工事士の資格取得までどんな流れなのかを調べてみました。

 

電気工事士試験の内容と日程

2017年(平成29年)の日程です。
毎年変わりますので、詳細は一般財団法人 電気技術者試験センターのサイトをご確認してください。

第2種電気工事士(上期)第2種電気工事士(下期)
受付期間3/15~4/56/15~6/28
試験日(筆記)6/49/30
試験日(技能)7/22or2312/2
手数料9,300円9,300円

 

  • 受付期間

郵送申込みの場合は、上記消印有効となります。
インターネット申込みは期間中に専用ページから申込みを行います。

上期と下期の両方を申し込むことはできません。※1年に受験できるのはどちらか片方のみです。

 

  • 試験日

試験は基本的に土日に実施されます。
筆記試験と技能試験の間は2ヶ月弱ありますが、筆記試験の合格発表から技能試験までは3週間程度しかありません。ということは、筆記試験の合否によって技能試験の練習を始めるというのは時間的な不安があります。

ただ、筆記試験の問題用紙は持ち帰ることができますし、解答は試験日の翌日に発表されますので、試験の次の日には合否はわかる仕組みになっています。(大学入試のセンター試験と同じ)
自己採点のためにも問題用紙にも自分の回答を書き残しておく必要がありますよ。

 

  • 手数料

上記はインターネット申込みの場合の金額ですが、郵送の場合は9,600円と若干高くなります。
この金額に全ての費用が含まれていますが、万が一技能試験の受験資格が得られなかったとしてもその分の返金といったことはできません。

 

 

電気工事士試験に向けての準備

第2種電気工事士の資格を取得するには、

  • 筆記試験
  • 技能試験

といった2種類の試験に合格する必要があります。

筆記試験は6割(30/50問)以上の正解で合格。(厳密には難易度で合格ラインが微調整されることがあるようです)
その筆記試験の合格者のみ、技能試験の受験資格が与えられます。技能試験では実際に配線や器具を使用して課題に対する成果物を作成します。欠陥の有無により技能試験の合否が判断されることになります。

 

どちらの試験も未経験で勉強・練習無しにクリアできる人はいないでしょう。なので、まずは先に実施される筆記試験に向けてテキストを用いて勉強あるのみです。

 

筆記試験のための準備

私が筆記試験の勉強のために使用したテキストはこのシリーズ(2冊)です。
※紹介しているのは最新版ですが、私が使用したのは2017年度版です。

 

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参考書で電気工事士試験に関する基礎的な知識を学習し、あとはひたすら過去問を解くのみです。

電気工事士に限った話ではありませんが、この類の資格試験は問題の使い回しが多いので、過去問を記憶しておくだけでも合格ラインに達することができるのではと思います。

ただ、それではあまりに面白くないので「参考書を見て理解する→過去問を解いて間違えたところを再度理解する」といった形で内容をできるだけ理解するようにしました。

 

 

技能試験のための準備

技能試験では、配線図から複線図を起こして実際に配線接続を行うという実技が必要となるため、テキストで机上の勉強をするだけでは合格は難しいです。こればっかりは作業を行って練習する必要があります。
※技能試験では、事前に13問の課題が公表されています。試験時にその13問の中から1問が出題され、それを作成するという方式となっています。

そのため、テキスト以外に工具と練習キットを購入するのが一般的でしょう。

練習キットによっては簡単な説明資料とDVDが付属しているので、その場合はテキストは不要かもしれません。私は臆病なのでDVDや資料が付録になった練習キットとテキストを別に購入しました(笑

 

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おすすめ勉強方法

こんな見出しをつけるほどの内容ではありませんが、私のような教養不足の人間でも大丈夫だったよ!と、少しでも誰かしらのお役に立てればという期待から書き留めておきたいと思います。

 

筆記試験対策

筆記試験用おすすめテキストの「ぜんぶ絵で見て覚える 第2種電気工事士筆記試験すい〜っと合格 2017年版」では下記全8章に分けられています。それぞれのページで試験に出やすい項目や重要事項には絵や図表が表記されており、電気に初めて触れる人にもわかりやすいものとなっています。

第1章 配線図記号
第2章 器具・材料と工具
第3章 配線設計と電気工事
第4章 検査方法
第5章 法令
第6章 電灯配線と複線図
第7章 電気の基礎理論
第8章 過去問集

 

全てが理解できている人はもう合格間違い無し!自信を持って試験に挑みましょう!

勉強から長らく遠ざかっていた中年社会人には、これら全てを網羅するのはなかなか難しいものがあるかと思います。テキストを見るだけで眩暈がするような私には到底無理な話です(笑

 

そこで、潔く「理解に時間がかかる項目は飛ばす」作戦を実行します。

筆記試験では1問2点の問題が50問出題され、60点以上で合格、つまり50問中30問正解すれば良いということになります。

電気の知識には自信があるよ!という人や時間は有り余っているよ!といった人は別にして、平日は残業で疲れて帰宅、休日は家族サービス、といった具合でプライベートな時間があっても勉強に費やすのはちょっと・・・という社会人が多いのではないでしょうか
そんな多忙な中、なるべく少ない時間で勉強するには、ターゲットを絞るしかないと思っています。

 

  • 第1章 配線図記号
  • 第2章 器具・材料と工具

この2つの章はひたすら記憶します。
これら単独の問題もありますが、なにより配線図を読み取るためには必要不可欠な知識です。

 

  • 第3章 配線設計と電気工事

この章も基本的には記憶しておくと良い内容ではありますが、そこまで必死に記憶しなくても過去問をこなしていく内に少しずつ理解できてくると思います。

 

  • 第6章 電灯配線と複線図

この章は筆記試験だけでなく技能試験でも必要となる知識のため、しっかりと理解しておく必要があります。
下記の2点がポイントです。

> 接地側は全ての負荷に直接接続する
> 3路スイッチは2個で1セット、片方(の0)は非接地側・もう片方(の0)は負荷側に接続する

 

  • 第4章 検査方法
  • 第5章 法令

ここはさらっとテキストを見て、あとは過去問で覚えていけば良いでしょう。

 

  • 第7章 電気の基礎理論

私はこの章に関してはテキストすら開いていません。
過去問をやるときにも完全スルーしていましたが、最近はこの章から5問前後出題されているようです。10点くらいと考えれば無視しても良いレベルですし、4択なので適当に解答しても運が良ければ点が稼げるかもしれません(笑

 

1,2,3,6章で60点以上は確実に取れますし、4,5章も過去問を解いていくことでいくらか点数は稼げますので心配はいりません。
実際、この方法で過去問を解いて合格点に達しなかったことは一度もありませんでしたし、本番の自己採点も80点だったのでまぁ悪くはないでしょう。

 

 

技能試験対策

技能試験では、配線図と材料が当日支給されます。配線図を自分で複線図に書き換え、その複線図通りに結線していきます。
配線図は事前公表された13問の中から1つ出題され、それを40分間で完成させます。

ということは、13問全てを一通り練習しておけば楽勝♪と言いたいところですが、制限時間40分というのは意外に短く、私が初めて挑戦した時は余裕で1時間を超えていました。しかも欠陥だらけで!笑


技能試験前日の練習風景。機器間の長さは適当です。

 

課題作成練習

技能試験前に出張が立て込んだこともあり、私が実際に練習として実作業したのは2回だけです。

1回目は、小手調べのため練習無しにチャレンジしたもので、1時間以上かかって欠陥だらけ・・・
2回目は、試験前日に復習のためのチャレンジで一応35分で完成しました。それでも欠陥はありましたけどね(笑

1回目の練習後、私はふと思いました。

「このままやみくもに課題を作っても上達しないんじゃないか?全体を組み上げることより、どの課題にも共通するパート毎の練習をした方が効率的なんじゃないか??」と。

 

器具の個別練習

課題作成1回目の失敗から学んだこともありましたが、そもそもあまり時間を割けなかったこともあり、器具やケーブルに慣れることを目的として被覆のストリップや"の"の字曲げ、リングスリーブのかしめ等を主に練習しました。

結局のところ、課題はこれら個別作業の集まりですからね。

特に重要なのは、ストリップ長さを頭に叩き込んでおくことです。
後述する「イメージトレーニング」にもリンクしており、これは実際の器具がなくてもできる学習ですし、このイメージができていれば各パートの作業スピードは格段に上がります。

  • ランプレセプタクル:外装被覆40mm、絶縁被覆20mm
  • 露出型コンセント:外装被覆30mm、絶縁被覆20mm
  • 引っ掛けシーリング:外装被覆15mm、絶縁被覆10mm
  • 端子台:外装被覆50mm、絶縁被覆10mm
  • リングスリーブ:外装被覆100mm、絶縁被覆20mm
  • 差し込み型コネクタ:外装被覆100mm、絶縁被覆12mm

 

複線図の練習

家でも仕事場でも、出張先でも移動中でもできるのが複線図を描く練習です。こればかりは数をこなしてミスを0にしておく必要があります。

課題の配線図を事前にプリントアウトしておいて、暇なときに複線図を描く練習を反復していました。というのも、何度やっても小さなミスがありましたからね。
「複線図のミス=作品の欠陥」なので小さなミスは命取りです。特にリングスリーブの選択は間違えやすいので要注意。

 

イメージトレーニング

私だけかもしれませんが、技能試験で一番大きな効果があったのはこのイメージトレーニングではないかと思っています。

時間は気にせず、ひとつひとつの作業を丁寧に頭の中に浮かべながら、時には手を動かしてエア作業をすることで、より効果の高いトレーニングができるはずです。

もちろん実際に練習した中で作業ミスを経験したからこそ、そのイメージを浮かべやすいというのはあります。ただ、実物を作ってみるより脳内でイメージする方が練習できる回数は多いし、どんな場所でも練習できるんです!
※この練習には、エア作業も含まれますので周囲の状況に注意して行ってください。一歩間違えると変質者です(笑

 

ルーチンワーク化

配線図を複線図に書き換えた後、ケーブルを任意の長さに切断する、という流れが一般的かと思います。

もちろんその流れで良いのですが、より具体的に作業する順番を決めておくと、本番で緊張した中でも動揺せず作業を進めることができるのではと考えています。

  1. 複線図作成
  2. 複線図のチェック(1)
  3. ジョイントボックスの組立
  4. 電源線の切断・ストリップ
  5. VVF1.6×2Cを使用した器具の結線
  6. ジョイント部までの測長・切断・ストリップ
  7. 5~6を器具数の分だけ作成
  8. 5以外のケーブルを使用した器具の結線
  9. ジョイント部までの測長・切断・ストリップ
  10. ジョイント部の仮結線(スリーブ等をかしめる前)
  11. 複線図と作品の比較チェック(1)
  12. 使用リングスリーブの再チェック(特に"小"と"○"の刻印)
  13. ジョイント部の結線
  14. 複線図自体のチェック(2)
  15. 複線図と作品の比較チェック(2)

 

あまりルーチンが複雑だと逆にわかりにくくなるんですが、文字にするとこんな感じです。特に4−5のようにどのケーブル種類から着手するかも決めておいた方が良いでしょう。

このルーチンで13問の課題を脳内作成(イメージトレーニング)すると、実際に作成するのと変わらない効果が得られるのではと思います。

 

 

結果は如何に・・・

なんとか合格できました。

 

開始前はリラックスしてたものの試験が始まるとやはり緊張しました。

電源線(VVF2.0-2C)の外装被覆のストリップをする際、工具の1.6部分を使用してしまい、絶縁被覆にまで刃が到達・・・「絶縁被覆の損傷で,電線を折り曲げたときに心線が露出するもの」という欠陥をバッチリやらかしてしまいました。私のルーチンでは4番目、最初のストリップ作業でいきなりやらかしたので、冷や汗ダラダラでした。

電源線は余長がほとんどないためやり直しが効きません。外装被覆を反対側にずらすことで心線が露出した場所を隠しました。※文章だけでは分かりにくいので下図参照。

 

この痛恨のミスはやばかったです。しばらく手の震えが収まらず作業が進まなかったですから。それでもルーチンを思い出して冷静になれたのは良かったかと思います。

 

 

結局、総額いくらかかったの?

受験手数料も含めた総額は下表のとおり、約4.5万円です。

 項目金額
筆記試験用テキスト2,052円
筆記試験用過去問1,296円
技能試験用テキスト2,052円
工具セット9,797円
練習キット14,878円
その他346円
手数料9,300円
免状交付手数料5,200円
合計44,921円

※上表には受験会場までの交通費等は含んでいません。

ちなみに、テキストや過去問集には売ることを考えて書き込みはしませんでしたし、練習キットの線材も最小限の消費に抑えるようにしました。そして、某フリマアプリで工具セット以外は全て売却できました。※工具セットは売れなかったのではなく、これからも使うので売っていないだけ。
それら売却益を差し引くと結果的には総額3.5万円弱の出費だったことになります。

ということで、綺麗に使って使用後は売却でコスト削減!!

 

 


締めの言葉

「効率化をはかれば知識がなくても短時間で合格できる!」

 

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