RICOH THETAというカメラをご存知でしょうか?
「360度カメラ」という、前後に付いた2つのレンズで360度全方位を同時に撮影できるカメラです。
Times Square in United States - Spherical Image - RICOH THETA
全方位を撮影しているので、撮影者だけでなくその反対側にある景色だったり建造物、人物なども同時に記録することができます。
簡単に言えば、その場の全てを映像として記録できるということなんですね。
現在はGoProやInsta360など各社からリリースされていますが、私の中ではこのRICOHが360度カメラの先駆けではないかと思っています。
RICOH THETAとは
THETAは360度カメラのシリーズ名であり、手軽なものから業務用まで幅広くラインナップがあります。
簡単に表にまとめてみました。
型式 | Z1 | V | SC2 | SC | S | m15 |
発売日 | 2019年5月 | 2017年9月 | 2019年12月 | 2016年10月 | 2015年10月 | 2014年10月 |
重量 | 182g | 121g | 104g | 102g | 125g | 95g |
静止画性能 | 6720*3320px | 5376*2688px | 5376*2688px | 5376*2688px | 5376*2688px | 3584*1792px |
動画性能 | 4K/29.97fps | 4K/29.97fps | 4K/29.97fps | FHD/29.97fps | FHD/29.97fps | FHD/15fps |
連続記録時間 | 25分 | 25分 | 3分 | 5分 | 25分 | 15分 |
マイク | 4ch | 4ch | モノラル | モノラル | モノラル | モノラル |
液晶表示 | ○ | - | ○ | - | - | - |
内蔵メモリ | 19GB | 19GB | 14GB | 8GB | 8GB | 4GB |
セルフタイマー | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
リモート撮影 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
手振れ補正 | ○ | ○ | ○ | - | - | - |
Bluetooth接続 | ○ | ○ | ○ | - | - | - |
実勢価格 | 112,752円 | 41,680円 | 32,091円 | 23,300円 | - | - |
"THETA Z1"が現時点でのフラッグシップ機になります。
1.0型CMOSセンサーを搭載しておりRAW撮影や絞り優先撮影など、上表には書き切れないほどのスペックを有しており、どちらかと言えばプロユースの機種ではないかと思われます。
お値段もビックリ!10万超えですね^^;
最新機種は"THETA SC2"になります。
お値段は3万円代と、アクションカメラとして考えたら普通か少し安いくらいの部類ではないかと思います。
それでいて4K動画も撮影でき、静止画もおおよそ5K並の解像度があります。
※360度を撮像しているため、解像度について一般的なカメラと単純に比較できるものではありません
内蔵メモリは少し少なく連続撮影時間も3分となっていますが、情報を表示する液晶パネルを搭載しており、さすが最新機種だけあってバランスが取れた仕様になっています。
RICOH THETAを使ってみた
撮影の前にTHETA SC2の説明
今回撮影に使用したのは"THETA SC2"という2020年11月現在での最新機種になります。
引用:リコー
カラーバリエーションは4色。
45.2×130.6×22.9mmの大きさで約104gなので女性でも持ちやすいサイズになっています。
ポケットに入れていても全く邪魔になりませんし、突起物もないので出し入れも楽チンですね。※360度カメラの性質上、レンズは剥き出しなので硬い物(鍵など)と一緒にポケットに入れるのは絶対ダメです!
撮影したいときにサッと取り出せ、電源ONから撮影まで1秒ほどでできてしまうので本当に気軽に使えます。
使用前に私が気になった点をいくつか挙げておきます。
それらについての自分なりの考察は後で述べたいと思います。
疑問1. 内蔵メモリ14GBで大丈夫??
内蔵メモリが14GBで、しかもmicroSDカードなどを挿すことはできません。
GoProだと、予備のmicroSDカードやバッテリを持ち歩いているのでメモリもバッテリも入れ替えができないという部分に不安を感じてしまいます。
疑問2. どうやってPCやスマホに取り込むの?
microSDカードがないのでどうやってPCやスマホに取り込めば良いんでしょうか?
PCへはUSBケーブルを使えば取り込めそうな気はしますが、スマホはBluetoothで??
疑問3. どこに向けて撮影するのが良いの??
360度撮ってくれるとは言っても、本体をどこに向けて撮るのが良いのか見当がつきません。
疑問4. 自撮り棒は必須??
自撮りをする場合、カメラを自分から少し離すために自撮り棒などを使いますが、360度カメラも自撮り棒が必須なんでしょうか?
THETA SC2で撮ってみた
静止画
下の2枚は、THETA SC2で撮影した写真です。
画像をクリックすると元データ(5376×2688px、約2.9MB)が別窓で開きます
画像をクリックすると元データ(5376×2688px、約3.2MB)が別窓で開きます
PCやスマホに取り込んだ画像は360度画像を開いたような写真になります。
※後から気付いたんですが、モニターの反対側のカメラを自分たちに向ければ人物が真ん中に写っていたみたいです。
"THETA 360 Photo Gallery"にアップロードすることで下のように自分のサイトに360度グルグル回転させられる画像を埋め込むことができるようになります。
Post from RICOH THETA. #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
Post from RICOH THETA. #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
ちなみに、THETAアプリを使っても見ることが可能です。
動画
海岸でカメラを上に持った状態で突っ立って撮影しました。
このように360度グルグル動かせる動画をアップロードすることも可能です。
アプリを使って編集してみた
スマホのTHETA+アプリを使って、静止画に動きをつけてみました。
これは水平線に360度グルリと一周するアニメーションですが、いくつかのシチュエーションに合わせたアニメーションや完全に自作アニメーションなどを作ることができます。
※アニメーション:ズームやパン・ティルトなどのカメラワークを指しています。
元は静止画ですが、アニメーションをつけた後は動画(MP4形式)となるので、YouTubeにアップロードして公開することもできます。
THETA SC2を使ってみた感想
前述した自分自身の疑問に対して答えてみました。
疑問1. 内蔵メモリ14GBで大丈夫??
丸1日の使用であれば14GBで全く問題ありませんでした。
14GBだと静止画で約3,000枚、動画で約30分を記録できるようですが、1日でそこまで使うことはほぼないように思えます。
個人的には動画メインで使うカメラではないかと思いますので静止画メインと考えれば十分な容量です。(理由は後述します。)
静止画をもっと撮りたい・動画をガンガン撮りたいという人には、スペック的にもZ1を購入した方が満足できる気がします。
仮に旅行などで連泊だった場合、スマホと簡単にワイヤレス接続できるので、1日の終わりに充電しながらスマホと接続してデータを転送しておくことで次の日も安心です。
※スマホ側の空き容量は事前に確保しておいてください!
疑問2. どうやってPCやスマホに取り込むの?
スマホへは専用アプリ(THETA)を介してワイヤレス接続で転送することができます。
ただし、転送速度は遅い上、転送中は他アプリに切り替えることはできないので時間に余裕がある時に行ってくださいね。(合計1.1GBのファイル転送に約20分)
PCはUSBケーブルで直接接続して転送するのですが、Macの場合は一旦写真アプリで取り込んだ後でPC用アプリ(RICOH THETA)に出力するという手間をかけて取り込むことが可能です。
が、PCよりスマホで編集する方が楽なのでわざわざPCに取り込む必要はないのでは?と思います。
iOSアプリ
[appbox appstore 1023254741]
Androidアプリ
[appbox googleplay com.theta360]
PC用アプリ >> RICOH THETA
疑問3. どこに向けて撮影するのが良いの??
これは難しいですね。私もまだ思い通りに使いこなせていません^^;
少なくとも、撮りたいメインの被写体にレンズを向けるのは必須ですね。(前後に2つのレンズがありますがどちらでも良いです)
ただ、レンズを被写体に対して正対させる必要はなく、レンズ面側に被写体があれば良いという程度で気にしておくだけでOKです。
本体側面側は、2つのレンズで撮影した2つの画像を合成する部分になるので歪みが出ることがあります。
あと、このTHETAにかかわらず、360度カメラはカメラ直下を自動でボカす処理が入っています。
上の写真を見るとわかるかと思いますが、私(グレーのスウェットを来た人物)の手元が変な状態になってます。
これは、カメラの真下にある自撮り棒などが画像上で邪魔になるため自動で消し込む処理を行っているからなんです。
ということは手元からカメラまでの直線の延長線上に何かあると、それも自動で消えてしまうということなんです。実際、撮影時に私の手元近くにいた子どもの顔が消えた写真が出来上がってしまいました。
疑問4. 自撮り棒は必須??
シチュエーションにもよりますが自撮り棒は無くても大丈夫です。
- 人物メイン:自撮り棒はなくても良いが、三脚はあった方が良い。
- 風景メイン:自撮り棒があった方が良い。
私なりの結論を言えば、三脚にもなる自撮り棒がベスト!です^^
こんなやつ↓↓
ちなみに、人物を入れるときは自撮り棒を縮めた状態で撮影するのが鉄則ですね。
と言うのも、自分や友人・家族など人物を含めて撮影するときに自撮り棒を伸ばして使うと、かなり遠くに写ってしまい、「風景がメインで人も写ってる」程度の画像になってしまいます。
レンズは超広角なので、自撮り棒なしでも風景+人物はしっかり写りますのでご安心を!
テーブルを囲んでの食事風景を撮るときなどは三脚は必須アイテムです。
私は三脚を使用していないので作例はありません(泣)が、カメラを固定してその周囲を歩いた動画などは非常に面白い作品と感じました。
RICOH THETAは買い?
買いです!
今回は時間が限られていたこともあり十分に使いこなすことができませんでしたが、慣れれば面白い写真・記念に残る写真を簡単に撮ることができるカメラです。
ただ、万人に対して「買いか?」と問われたら「Yes!」とは言えないのも事実です。
あまりオススメできない使い方
動画撮影用カメラとして
歩いたり走ったりしながら動画撮影もしてみたのですが、手振れ補正の効きが少し弱いので動きながらの撮影にはあまり向いていないと感じました。
あと、動きながらもカメラの向きを固定していれば問題ないのですが、身体の向きに合わせてカメラも動かす(歩きながら後ろを振り向く)場合などは、視点の動きが大きすぎて人によっては酔うかもしれません。
上記は、簡単にノー編集で見れる映像を求めるには不向きということであり、ガッツリ映像編集もやるよ!ってことであれば逆に魅力的な映像に変えられるポテンシャルはあるかと思います。
ただ、内蔵メモリーや連続撮影時間を見ればわかりますが、Vlogや移動経路を撮影するような用途を想定したものではないので静止画+おまけ動画機能くらいで割り切って考えられる人向きだと思います。
デジタルカメラの代替として
さすがにこれはないとは思いますが、高画質なデジタルカメラの代替として使うのは無理があります。
画角という概念がないので、日常の風景からある一部分を切り出すような映像は撮れませんし、ポートレートやブツ撮りにも使えません。
(THETAアプリで切り出したり編集すれば使えるかもしれませんが、そんな手間をかける方はいないかと・・・^^;)
オススメな使い方
パーティー好きな方
パーティーというのは大袈裟ですが(笑)、カラオケや旅行などみんなで集まってワイワイやるのが好きな方には超オススメですね。
@christianvaleri - Spherical Image - RICOH THETA
テーブルの真ん中に置いておいて、たまにパシャッとするだけでその場の雰囲気全てを残すことができますよ。集まってハイチーズ!という必要もないので自然体を撮ることができます。
写真を撮るのが苦手な方
このカメラは、デジカメやスマホで写真を撮るけど単調な画しか撮れないという人にこそオススメしたい!(あ、私もですね・・・^^;)
「構図とか知らないし、そんな堅苦しいの苦手〜」って人もいらっしゃるかと思います。
だからって写真を撮らないのはもったいない!初めから360度撮っちゃえば構図も何も関係ないんですから。
@utleyp - Spherical Image - RICOH THETA
360度カメラの撮り方のパターンさえ覚えれば、このカメラでしか撮れない写真を残せるんです。
メカオンチでも関係ない、ボタン一つ押すだけでこのカメラでしか撮れない写真を残せるんです。
独断と偏見に満ちたオススメ機種ランキング
第1位
圧倒的にオススメするのがSC2です。多分、一番売れ筋なのもこれではないかと推測します。
静止画・動画ともに必要十分なスペックで液晶表示があるので操作性も良いです。(液晶表示にセルフタイマーのカウントが出たりして地味ですが抜群に便利ですよ!)
第2位
SC2でもちょっと高い・・・動画なんて使わないし少しでも安く!というならSCもありですね。
ただ、使いやすさや映像の綺麗さではSC2より劣るのが正直なところ。
光学スペックはSC2と同等ですがセンサーや画像処理エンジンは古いタイプですし、セルフタイマーなどの機能を使うにはスマホとWi-Fi接続しなければならなかったりとSC2と比べてしまうとどうしても見劣りしてしまいます。
第3位
映像には拘りたい!という方にはもうこれしかないでしょう。
1インチなんて、高画質で人気の高いDSC-RXシリーズ(SONY)と同じサイズの撮像センサーですよ!他の1/2.3インチとは比べ物にならない画質が得られること間違いないです!
が、お値段の方も比べ物にならないのでご注意を(笑
まとめ
単純な画質で比較したらGoProやデジカメには劣るTHETAですが、フットワークの軽さと全てを記録できる画角はTHETAにしかない面白さだと思います。
あまり360度カメラには興味がなかったのが正直なところでしたが、使ってみて本当に眼からウロコの楽しさでしたね。写真を撮りたがる子どもに持たせるのも良いかもなー^^